男は、43年前に妻を亡くしたが、それでも3人の子供を厳しく育てあげた。
今日、そのうちの長女が家を出て行くという。代わりに、むかし家出した次女が戻って来るというのだが…。
同じ頃、一人の若い女が歯科医の診察を受けていた。
彼女の夫は子供が生まれてくることに不安を感じている。
昔の記憶などなんでもないことだと慰める若い女。
夫は言う、単純な君にとてつもなく安心すると―――
そして、若い女は決意する。

蓄光時計は暗闇になっても少しの間、光を放つ。
その間、世界は歩みを止めるが秒針だけが動いている。
ほんのわずかの輝き、時間が動く。
物事は過去とは何の関係もなく起き、内省する恐れは故意に事実を軽視する。
明日はすべてがおわってるかもしれない。
複雑さは大きなひとつの単体で、昨日と今日とを分ける一枚の壁。
いずれその壁に塗りこまれ、あたりに完全な暗闇がやって来ようとも、
でも、私はあなたと一緒よ。



2011年11月9日(水)~13日(日)
小劇場楽園

作:フジノサツコ
演出:森新太郎
美術:吉野 章弘
照明:佐々木真喜子(ファクター)
音響:中村光彩
衣裳:Koco
グラフィックデザイン:やまねまい
宣伝写真:STUDIO DE VUE 
舞台撮影(写真):小尾幸春

出演:西本裕行 / 佐治静 / はやしだみき / 日向野敦子 / 岸井ゆきの / 加藤圭 / 森尻斗南 / 力武修一 / 内田悠一 / 長瀬知子

助成:芸術文化振興基金助成事業
平成23年度(第66回)文化庁芸術祭参加公演

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